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不同沈下の進行と対策

不同沈下は気づくのに時間がかかる

不同沈下が起きやすいのは水分を多く含んだ軟弱な地盤ですが、
そこでは、水と空気と土からなる地盤の上に建物がのると、水や空気が抜けていき、
地盤が低下する圧密現象が起きます。
しかし、建物をのせてすぐに圧密現象が現れるのではなく、
数カ月から数年経過してようやく現れるのが普通で、
一度沈下し始めると建物の荷重と地盤の強さがバランスを得るまで継続します。
こうして沈下が継続的に発生しても、それに気づかない場合も多いのです。
なぜなら沈下が年に数センチというレベルで起きていることもあるからです。
建てたばかりの頃はちゃんとしていたのに、
1年後に扉がぴったりと閉まらなくなったというのは、
すでに不同沈下が生じている可能性があります。
不同沈下は一気にやってくるのではなく、段階的に起こるものですが、
一度起きてしまうと、沈下が終息するまで食い止めることはできません。
進行の段階は初期から最終まで5つの段階に分けることができます。
まずは、この5段階を把握しておきましょう。

不同沈下の進行と沈下対策

初期段階では、外壁や犬走に亀裂(ヒビ)が発生しますが、家が傾くまでには至りません。
第1段階では、床が傾き始め、基礎や土間コンクリートに亀裂が発生するようになります。
すでに家が傾いてきています。
第2段階になると傾きはより大きくなっており、壁と柱の間に隙間が生じたり、
ドアや引き戸の開閉が困難となります。
ブロック塀などの傾斜も見られ、部分的な補修が必要となってきます。
第3段階では柱が傾き、窓やドアの開閉が不良となります。
歩くと床が傾斜していることにはっきりと気づきます。
ときには風呂場や台所の排水に時間がかかるようになり、ときには逆流することもあるなど、
生活に支障をきたすようになります。また、傾いた床に寝ていると血液の循環機能が低下し、
体が異変を起こすこともあります。
最終段階ともなると、柱の傾斜がきつくなり、
暴風に吹かれただけで倒壊するほど不安定になってきます。
床の傾斜もひどく、建っていることが困難になってきます。
もちろん、人が住めるような状態ではありません。
以上のように、段階に分けて見てくると、
不同沈下の進行がだいたいは理解できるのではないでしょうか。
さて、困ったことに不同沈下を防止する唯一の方法というのが、
建物を建築する以前にいかに基礎計画、
あるいは地盤補強に配慮したかということにかかっています。
なにしろ沈下によってダメージを受けるのは柱や梁、基礎などの構造材であり、
それらの部材は壁や床などの裏に隠れているために、
そう簡単には取り換えたり、補修したりできないためです。
中でも基礎は取り換えがきかず、基礎の下の地盤にいたっては
建物が建ってしまってからでは施工したくてもできないのが現実です。
傾いた建物を水平に戻す修正工事という具の手がないわけではありませんが、
想像を絶するような大変面倒なf作東となり、費用も莫大なものとなります。
瑕疵保証については業者はなかなか認めたがらないため、
補修工事も滞るという最悪の事態に陥ることも予想できます。
沈下対策の決め手は早期発見・早期治療です。
建ててしまってからでは手遅れというケースがほとんどなので、
まずは地盤調査を沈下対策のきっかけにしておきましょう。

圧密沈下 (水と空気が抜けて起こる現象)

軟弱地盤の上に家を建てると、その重さに耐えきれずに地盤が沈下していくことがあります。
このとき、土中で何が起きているかというと、土の中の空気や水が建物に圧迫されて、
地表、あるいは周辺に逃げようとしているのです。
水が逃げたり、空気が抜けたりすると土の体積は収縮してしまいます。
このょうな土の収縮のことを「圧密」といい、
圧密にょって建物が沈下するのを圧密沈下と呼んでいます。
たとえば、漬物を例にとると分かりやすいのではないかと思います。
漬物を漬けるとき、野菜の上に石などを置いてじっくりと圧力をかけます。
多分に水分を含んだ野菜は、次第に体内の水を放出させられ、体積が収縮して漬物となります。
これが漬物の圧密であり、地盤と同じしくみで起きた現象なのです。


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